今回は、立体感についての話。
デジタル写真は解像感が高くて色鮮やかなのに、なぜかたいらで薄っぺらな印象を持たれている。銀塩写真と比べて立体感が薄いとさえ言われている。実際に比べてみると確かにデジタルはノッペリしたイメージで立体感がない。その原因は「粒状ノイズ」の有無に関係しているらしい。
人間の目にぎりぎり見える大きさの粒状ノイズをデジタル画像に加えると、絵柄によって立体感や質感が向上するという。この粒状ノイズがなめらかな画像を立体的に見せている。
モノクロフィルムの画像を顕微鏡で拡大すると、大きな粒子と小さな粒子がほぼ同じ量で構成されている。これと同様の粒状ノイズを画像処理ソフトで発生させたものが「ホワイトノイズ」といわれているもの。カラーフィルムの画像は大きめの粒子が目立つ構成で、これをソフトで擬似的に作り出した物を「1/fノイズ」と呼んでいるようです。これらをデジタル写真に加えると、銀塩写真のような粒状感を生み出せる。
粒状ノイズによる立体感の向上効果はさまざまな被写体に対して有効で、青空のような空気感の描写にも効果を発揮する。ただ、粒状ノイズの種類や強度、ノイズを加える範囲の違いによって効果は変化するようです。また、ガラスや金属のように光沢感のある被写体や、人物の顔などでは必ずしも効果を発揮するとは言えないようです。
被写体によってはノイズを加える事で得られる効果はまちまちですが、結果的にノイズを加えることで立体感は向上するようですね。私も、このことを知ってか知らずか、写真の加工時にごく微量のノイズを加えることがあります。とくに空や平坦な色のグラデーションとか。質感が向上するような気がするんですよね。実際、ノイズを加える事でトーンジャンプを軽減できるらしいですし。
しかしまぁ、技術者は必死になってノイズを出さないよう日々努力しているのに、そのデジタル写真にまたソフトウェア側でノイズをのせるとは…なんとも皮肉な話ですね。
ちなみに、カメラ側で発生する高感度ノイズは、その性質上立体感の向上にはつながらないようです。
参考:アサヒカメラ 2009年5月号
PR